サイコパスとは反社会的な人格を指す言葉で、精神医学上は「反社会性パーソナリティ障害」と分類されています。
良心や善意を持たず、一般人と比べて偏った考え方や行動を取る傾向があります。
現在、人口の1%~数%の人がサイコパスであるとされており、日本にも約120万人のサイコパスが存在していると推測されています。
多くの研究においてサイコパスは、冷淡さ・利己的などの情動的側面を表す「一次サイコパシー」と、衝動性・社会的逸脱行動などの行動的側面である「二次サイコパシー」の2つの側面から評価されます。
サイコパスには、以下のような特徴があります。
サイコパスは素早く決断できる力があるため、決断力が求められる仕事で成果を発揮しているケースが多くあります。また、恐れを知らない気質であることから、危険性が高い仕事も物怖じせず務められる傾向があります。
サイコパスは共感性が低いため、共感が求められる仕事は向きません。人を助けたり、人の気持ちを理解したりする仕事は選ばない傾向にあります。
A. サイコパスはIQが高いと思われがちですが、一般人の平均とそれほど変わりません。一般人同様、頭の良いサイコパスもいれば悪いサイコパスもいるということです。決断が早く常人がためらう行動を躊躇なく取れるため優秀に見えるという側面も指摘されています。
A. 怒り、喜び、驚きといった感情は一般人レベルに理解できるものの、恐怖や悲しみを察する能力が低いことがわかっています。ただし、サイコパスは相手の表情から、その人が感じている感情を察するのは得意です。自分が共感することはなくとも、相手の状況を察知する能力は高いのです。
A. サイコパスの一番の悩みは「孤独感」であることが2015年の中国の研究によってわかっています。利己的な振る舞いによって人が離れてしまったり、飽き性な性格により同じ人と長期的な関係を築くことができないため孤独に悩むことになります。
A. 扁桃体周囲、眼底前頭皮質、内側前頭前皮質などの活動が弱いのが特徴です。これにより衝動的な行動を抑えられなかったり他者の感情に共感することができなくなっています。
A. 精神医学上では共に「反社会性パーソナリティ障害」と呼ばれますが、サイコパスは先天的な脳の構造の違いにより生まれた反社会的な人、ソシオパスは幼少期の体験や家庭環境によって形成された後天的な反社会的人格という違いがあります。
ドイツやカナダの研究によると男性の場合は顔の横幅が広いほどサイコパシー傾向が高い、もしくは反社会的傾向が高いという結果があります。これは男性ホルモンの値が高いほど顔が横に広がる傾向にあることに関係しているのではと言われています。男性ホルモンにより競争心や攻撃性が高まることとの関連が引き続き研究されています。
サイコパスの診断には「ハレルのサイコパシー・チェックリスト(PCL-R)」やDSM-5の基準などが用いられます。PCL-Rは、反社会的行動や感情の欠如など20項目からなる評価で、サイコパシーの度合いを数値化します。一方、DSM-5では「反社会性パーソナリティ障害」として分類され、社会的規範を無視する持続的な行動パターンが診断の指標となります。